新しい日常——何も起こらない時間の中で見つけた幸せ

うつ病と家族の現実

はじめに

何かを決断したわけでも、
劇的な変化があったわけでもない。

ただ、いつの間にか、
朝の光の中で深く息を吸えるようになっていた。
心が落ち着いて、
一日の始まりが、静かに楽しめるようになっていた。

それだけで充分だと思えるようになったのは、
あの頃の嵐を経験したからだ。


穏やかな朝に思うこと

愛犬が伸びをして、私の顔をちらっと見る。
その仕草に小さく笑う。
そんな瞬間が、今の私の“幸福”の単位だ。

誰かの顔色を気にしなくてもいい朝。
ただ自分のペースでコーヒーを淹れて、
その香りを深く吸い込む。

少し前まで、日常は戦場だった。
一言で空気が変わり、沈黙が刃のように刺さっていた。
でも今は、何も起こらない一日が、何よりも豊かに感じる。


新しい日常は「努力しない穏やかさ」

もう頑張って良くしようとは思わない。
関係も、環境も、流れに任せていいと思えるようになった。

人を変えようとしない。
過去を無理に忘れようとしない。
そのまま抱えて、今日を過ごす。

“努力で掴む幸せ”ではなく、
意識を緩めて感じる幸せを選んだだけ。
それだけで、世界の見え方がこんなに変わるなんて。


生き直すというより、続ける

再出発したからといって、
すべてが新しくなるわけじゃない。
痛みも記憶も残ったまま、
ただ、日々が静かに続いていくだけ。

でも、その「続いていく」がどれほど尊いことかを、
私はようやく知った。

生き直すというより、
淡々と続ける勇気を持つこと。
それが、私にとっての“生きる”になっている。

・愛犬と季節の匂いを感じながら歩くこと
・お金も時間も、自分で選んで使うこと
・小さな感情に気づいて、大切にすること

特別な目標はいらない。
もう「頑張る」よりも「穏やかにいる」を選びたい。
人生は、誰かに評価されるものではなく、
自分が納得して過ごせるかどうかで十分だから。


あとがき

あの頃の嵐を思い出しても、
今はもう、何も感じない日も増えてきた。
それが少し寂しくて、でもやっぱり嬉しい。

人は、変わるというより、
“静かに整っていく”のかもしれない。

今日も、何も特別なことはない。
でも、愛犬がそばにいて、
おだやかに時間が流れていく。

この“何も起こらない日々”こそが、
私がずっと欲しかった未来なんだと思う。

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